福永博建築研究所の中で、福永晶子が担当する住宅・デザインに焦点を当てています。個人住宅は住み手と対話しながら設計が進んでいきます。従って、住宅の隅々にまで住み手のセンスや文化や生活感が表せるものです。
竣工して間もない店舗から築後10年を経過した作品の中で実際に住まわれ生活が始まっています。それぞれの住み手のセンスやライフスタイルにフィットする住宅・お店にするために対話した内容が伝わるのではないでしょうか。
1997年 3月東和大学工学部建築学専攻
住居デザインコース卒業
1997年 4月福永博建築研究所入社
静岡県掛川駅から車で2時間。 大井川上流のダムサイトに面してその別荘は建っています。四方を山々に囲まれ、眼下に見下ろすダム湖は、エメラルドグリーンに輝いています。別荘の設計では、日常から非日常のリラックスへと心を解き放つ仕掛けづくりが大切な意味を持ちます。例えばそれが、門構えのデザインであったり、大広間を暖める薪ストーブの炎であったり、自然と一体感を味わう露天風呂であったりします。だからこそ、そのディテールの細部にまでこだわりが必要なのです。
上の階と下の階どちらにしようかと悩んだお二人。大濠公園は目の前の緑だけでなく、面白いのは公園に来ている人々の動きも景色の一つだと気づかれ、五階建ての集合住宅の二階に決めたお二人です。今では休みの日にガーデンルームにテーブルセットをして朝食をとる。本を読むといった理想的な生活をしていただいております。設計は、本が好きなご主人とかわいいものがお好きな奥様の二人とお話ししながら進めていきました。室内は廊下がないワンフロアーのプランです。平面図で見るとなんでもありませんが、細かい部分にお二人の人柄が表れてきます。リビングの赤い椅子に身を傾けてホームシアターを楽しむお二人。トイレの手洗いに青いガラス製のものを選択され、オブジェ的に楽しまれているサニタリー。ディテールに悩んだ浴室のガラスの引き戸は、ご主人のお気に入り。南の光が入ってくる広い浴室に、いつの間にか長風呂をする生活。また、夜帰ってくるときに、外観を楽しむために、外灯をつけたままにして外出されるなど、新居を上手に楽しまれています。
今までお二人でお仕事をがんばってこられたので、「ゆっくりと過ごす」ことがテーマの住宅です。まずは、玄関。ホールと廊下の巾は、老後のための手すりを取付けてもゆったりとした巾があります。その巾のある廊下の突きあたりには、夏みかんが眺めることができます。この夏みかんは、移植せず残したまま工事をしてもらいました。次は、リビング。普通の住宅よりリビングの高さが1.5倍、その高さを生かしたトップライト(光りマド)でリビングの奥まで四季折々の光を感じながら生活ができます。夜には、この光マドからもれる明かりを外から眺めるのも楽しみの1つだそうです。そして、お風呂で健康管理をしているので、岩盤浴・立ってはいるジェットバスがある大きな浴室。時間を気にせず、入りたいときにゆっくりとお風呂を楽しんでおられます。大きいことが好きなご主人様と自然が好きな奥様の為のゆったりとのんびり過ごせる家をつくることができました。
来客が多いお家だったのでいろんな演出を考えてつくりました。外観から見ると、緑に囲まれた和を漂わせるデザインですが、アプローチを歩くと一転して洋の雰囲気でお客様をお出迎えです。まずは、大きな空間のギャラリーホールです。ここでは、季節ごとに収集してきた物を展示してお客様をお迎えします。ギャラリーでゆっくりお話ができるように、ピクチャーウインドウには、均一な北側の光と雑木林のようにつくった中庭を演出。リビングダイニングは、お話がはずむように三角屋根を生かした天井形状と光マド。そして和室は、お茶のお手前姿がきれいに演出できるように下マドを配置しています。どの部屋でお迎えしても、来客が楽しんでもらえるのでお客様くつろいで長居するのが困ったことだと言われています。


建物は、長方形の4階建てです。シンプルな壁の表情に窓の配置・奥行きでバランスを整えています。通りに対して、外観を演出する材料として1階部分には、自然石・木の梁を使用し、歩く人・車からの目線への表情を大切にしています。歩道と建物の間にオープンスペースをつくり、敷地巾全てに6~7mの高木を植え建物を緑で囲む演出をしました。1階のレストランは、ガラス面を大きくとりカジュアルなフランス料理を楽しめる空間。2階は今までの料理店の雰囲気を大事にして、木の梁で天井を演出してレンガの壁でやさしい表情をつくります。個室は、オーナーこ だわりの南フランスの赤・青色を用いた個室です。3階は結婚披露宴・ピアノのコンサート・パーティーなどに用いられる大ホールです。ホール空間は、教会の天井のように6~8m天井と、自然の光の演出が楽しむことができるホール空間です。4階の教会は、サイドから自然の光を取り込み白いレンガに反射をさせています。3階とは違った趣のある雰囲気を演出しています。全て同じ店舗ですが、各階で違った空間をつくるように心がけてつくりました。
木造トラス構造でつくったBARです。店内にはいると、トラスの梁と天井の杉板からの木の香りがするBARだと言われています。
いぶし銀のかかった黒レンガ積みの壁は、バーテンダーのキリッとした姿勢を表
現しています。

木造トラス構造の大スパンでつくった熊本の老舗のおそば屋さんです。
老舗のイメージを大切にした外観。
店内は、せわしいおそば屋さんのイメージをなくして、自然の光があふれる気持ちのよい空間をつくりました。


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